投稿日時 2025-07-21 14:41:01 投稿者 ![]() 一ノ宮ガユウ このユーザのマイページへ お気に入りユーザ登録 |
投稿者コメント | |
❖迅速測図原図 (フランス式彩色図) 文字どおりに迅速測図の原図。水彩絵の具で彩色されていることを大きな特徴とする。これはその後採用されなかったフランス方式によるためであり、原図を基にした迅速測図はドイツ方式で製図され、一色刷りで発行された。 「原図」とそれを整えたものの関係である以上、地形図としての全般的な情報量に関して両者に大きな違いはない。しかし、原図でなければ得られない情報もあり、たとえば植生や低湿地における水域・荒地の表現は迅速測図より多彩であり、また水田と畑地の区別も明瞭なため、低地の微小地形を検討するのに重宝する。もっとも原図という性質上、担当者の違いに起因するばらつきや不整合、また誤りや漏れを含んでいる可能性のほか、正確な意図の不明な表現が存在する、といったようなことには注意しなければならない。また当然ながら、迅速測図を作成する段階で書き加えられている情報は原図には存在しない。たとえば、原図で確認可能な田畑の区画は小道 (農道) で区切られるところまでであり、その内訳 (畔で区切られた最小区画) はわからない。原図で多彩であるのは「表現」であって、「記号」として定式化された情報量は迅速測図のほうがもちろん多い。 一括して覆刻販売されたときの主題は「明治前期手書彩色関東実測図」、のち個別または地区単位で購入可能になったものは「明治前期測量2万分1フランス式彩色地図」、どちらも副題は「第一軍管地方二万分一迅速測図原図覆刻版」だが、後者は販売形態の関係か、あったりなかったり統一されていない。国土地理院の古地図コレクションにおける総称は「迅速測図原図 (フランス式彩色図)」。 なお、迅速測図原図は美術的に高く評価されることもあるが、その場合に紹介されるような、枠外に「視図」と呼ばれる風景・事物のスケッチが全面にわたって色鮮やかに描き込まれいているものはごく一部に限られる。全921面のうち、そもそも視図が含まれる面は半数にも満たないし、含まれていても多くは簡単で小さなものが 1~2点描かれているだけである。過度な期待は避けたほうがよい。もちろん、小さなスケッチであっても当時の景観を復原するに欠かせないものであり、学術的な価値は変わらない。 |
||
最大化 | アクセス解析 | ユーザ情報 ![]() |
▽この画像のトラックバックURL▽(トラックバックについて) |